• になります」  そして、誘われてもないのによろこんでる野村。  しかも、略語まで駆使して。  ってか、なんで薄給のおれが、おごらねばならない?  ってか、勝手に話をすすめるなー。  俊春は、おれがここにいることをわかっている。泰助を元気づけ、よろこばせるため、わざといっている。  叔父である井上との思い出のために・・・。  たぶん、だけど・・・。

    Accounting Services hong kong

     「で、泰助。わたしに用事があったのでは・・・」 「忘れました。もういいです。はやくみなに、伝えなきゃ」  いうなり、船室がわりの船倉へと降りる階段へと駆けだす泰助。  呑気な野村も、うきうきした様子で駆けだす。  その大小の背を、笑顔でみおくる俊春。が、すぐにこちらへ体ごと向き直る。  もちろん、があってしまう。「わたしのかわいい弟に、よからぬことを考えたり想像したりするのではないぞ、主計」 「ひいいいっ」  左耳に、まさかのささやき。思わず、飛び上がってしまう。  あいかわらず、クールなでみてくる相棒。 「なにいってんですか、俊冬殿。おれに、そんな趣味はありませんよ。まったく、どうしておれが、俊春殿をどうかしようなどと、考えたり想像したりするんです?」 「なぜなら、つい先日も宿の庭先で「あーんなこと」があったからだ、と申しておる」 「ぎゃーーーー」  俊冬に詰め寄っているところへ、つぎは、右耳にささやかれる。 「えっ?そうだ、忘れてた。「豊玉」や「宗匠」たちと寝落ちしたときのことですよね?「あーんなこと」って、いったいなんなんです、俊春殿?」  体ごと、俊春へ向き直る。  10m以上距離があったはずなのに、神速で間を詰めてくるところはさすがである。ってか、それをいうなら、俊冬もいつの間にか、背後にあらわれていたのだが・・・。「それで主計、つぎは、なにが起こる?だれが、いつ、どこで死ぬ?」 「ゴーイングマイウエイ」俊冬・・・。  おれに作詞作曲の才能があり、ついでに唄えてギターでも弾くことができれば、かれのために1曲つくって弾き語りしたい。 「すみませんけど、おれを間にはさむのやめてもらえませんか?なんか、職場の同僚から、いじめとパワハラを同時にされてるみたいですから」 「申している内容はよくわからぬが、「あーんなこと」をした仲ではないか?いまさら、われら兄弟にはさまれようが、絡まり合おうが、気に病むことなどあるまい」 「ですから、俊春殿っ・・・」 「主計っ!われらは、いまから鍛錬をするのだ。ときがもったいない。はやく、答えてくれ」 「はい?それなら、あなたの弟を叱ってくださいよ、俊冬殿」  意味のないいい合いをしつつ、俊冬の問いに対しての答えを、先延ばしにしているのだと、自覚する。  そのおれをよんでいるのか、きいてきた俊冬もまた、おれの答えをきくのを先延ばししたがっている。  だが、このまま時間稼ぎするわけにはいかない。歴史的真実を伝え、最善のを検討し、納得のゆく道を進まねばならないのである。  ときを稼ぎたいわけではないが、二人からはなれて手すりにちかづくと、それに背をあずける。  それも木製で、なにゆえか、木のぬくもりを感じる。  海上は、今宵も静かである。空には、無数の星が瞬いていて、欠けた月がぼーっと浮かんでいる。  あの月に、人類がいって降り立つのは、一世紀後のことである。  1969年、アメリカのアポロ11号が着陸し、人類ではじめて、ニール・アームストロング船長がそこに降り立つ。  いま、ここで、日本人同士が争っている。  そのたった100年あまり後、を検討し、納得のゆく道を進まねばならないのである。  ときを稼ぎたいわけではないが、二人からはなれて手すりにちかづくと、それに背をあずける。  それも木製で、なにゆえか、木のぬくもりを感じる。  海上は、今宵も静かである。空には、無数の星が瞬いていて、欠けた月がぼーっと浮かんでいる。  あの月に、人類がいって降り立つのは、一世紀後のことである。  1969年、アメリカのアポロ11号が着陸し、人類ではじめて、ニール・アームストロング船長がそこに降り立つ。  いま、ここで、日本人同士が争っている。  そのたった100年あまり後、たちは、各地で戦闘を繰りひろげます」 「そうであろうな・・・。大坂城でも、そうであったように。われらも、大坂城で、ほんのわずかしか翻意させることができなかった」  俊冬が、しずかにいう。  いや、わずかでも助かった


    votre commentaire
  • に残るか、俺と来るか」 その問いに桜司郎は軽く驚く。実家には流石に着いて行けないかと思っていた。かと言って、此処に居続けるのも居心地が良くない。何処か宿を取って引き篭ろうと思っていた矢先だった。 「ご、ご実家にお邪魔するなんて迷惑では無いですか」 「いや、別に迷惑じゃねえよ。よく試衛館の連中も来ていたしな。おい、斎藤。お前は実家に帰るか?」 それに斎藤は小さく首を横に振る。彼には誰にも言えぬ実家には戻らない理由があった。それに特段恋しいと思うこともない。それだけの覚悟を持って実家を出たのだ。 「何だよ、それなら皆揃っ trust hong kong て俺の実家へ行こうぜ」 土方はくつくつと笑うと、さっさと荷物を手にする。そしてまた来る旨をツネと周斎へ伝えると、試衛館を出た。土方の実家は多摩の石田村というところにあった。石田村と試衛館を往復しようとすれば半日はかかる程の距離がある。 春の景色を楽しみながら歩けるから良いものの、これが夏だったら行き倒れているかも知れないと桜司郎は肩を竦めた。 とはいえ、疲労の色は徐々に濃くなる。足を引っ張る訳には行かないという意地だけで歩いていた。 土方は桜司郎を横目で見る。桜司郎の足取りの重さに気付いていたのだ。いつ根をあげるかと見ていたが、江戸の男らしく意地っ張りなところがあるものだと口角を上げる。 「おい、そこの茶屋で一休みしようぜ。喉が乾いた」 土方はそう言うと、少し先に暖簾を出している茶屋を指さした。斎藤は無言で頷き、桜司郎はみるみる表情を明るくする。 土方は苦笑いを浮かべると、先頭に立って暖簾を潜った。 茶と餅がそれぞれ運ばれてくる。軒先の な光景を眺めた。 「懐かしいな、よくこの道を薬箱と木刀を背負って若い頃は往復したもんさ」 土方は茶を啜ると、懐かしそうに目を細める。その視線の先には若返りし自身の姿が映っていた。 家業である"石田散薬"の行商がてら、道場破りや試衛館での稽古に励んでいたのである。 ──あの頃は、まさか自分が憧れていた武士になれるなんて思いもしなかった。 「薬箱と木刀って……不思議な組み合わせですね」 桜司郎が首を傾げると、斎藤がフッと口元を緩める。 「俺は直接見た訳ではないが。対戦相手をボコボコにして、怪我や打ち身によく効く薬だと売り付けたと聞いた」 そう言われ、土方はバツが悪そうにそっぽを向いた。腕試しにもなり、良い行商相手にもなり一石二鳥だったのではないか。荒々しいが、土方には商才がある気がすると桜司郎は感心した。 「偉そうな口利いておきながら、アイツらが弱ェのがいけねえよ」 「……ですが、そんな貴方ももう泣く子も黙る新撰組の副長だ。ご実家も誇らしいでしょう」 斎藤の打算のない言葉に照れ臭くなったのか、土方は無言のまま耳を赤くする。喧嘩や女との痴情のもつれ等の決して良いとは言えない揉め事ばかり起こして来たが、やっと遅咲きながらも胸を張って実家へ帰れるようになったのだ。 土方の胸に感慨深さがじわじわと滲みつつも、これ以上褒められるのは居心地が悪い、と土方は茶を飲み干し立ち上がる。 「よ、余計なことくっちゃべってると、日が暮れちまうぜ。早く行くぞ」 その様子を見た斎藤と桜司郎は目を合わせ、意味ありげに笑った。 桜司郎の中にあった緊張と畏れも、疲れと共に解れていく。


    1 commentaire
  • 「勝さん、私ね、以前から思ってた事があるんです」「……………」「私は確かに未来が見える。そして、何度かそれを変えようとした事があります。…でも、結末は変わらなかった…だから私は見たものを受け入れる事にしたんです。未来は変えられない…変えてはいけないものなのだと。ならば何故、未来が見えるなんて力があるんでしょうか?」「……………」勝は答えない。いや、答えられない。すると紫音は寂しみ、勝の手を取った。流れてきた近い未来。散った桜が青々とした葉をつけている。その中で、泣く竜馬を勝が肩を抱いている。そこまで見て、子宮內膜異位症別亂補すぐに手を離した。「多分、刑が執行されるのは5月ですね…今なら間に合う」「………紫音」「私に出来る事をやりますよ。以蔵さんには私も多少はお世話になりましたから」行く先は土佐。長旅になる。それは京よりもずっと…。「船を準備する。お前さん、船は大丈夫かい?」「…船、ですか。初めてですね」「そうかい、じゃぁ船酔いには気をつけろよ。すまねぇが………頼む」それが勝の最大級の表現だった。笑顔で了承の意を表し、紫音は早速立ち上がった。 この時、もっと勝の未来を見ていたなら、先は変わっていたのかもしれない…。・ ・ ・ ・ ・ 「はっはぁ!やっぱり海の風は気持ちいいぜよ!!」「…そうですね」紫音と坂本は、薩摩行の船に便乗していた。京を過ぎ、神戸から乗った船は、幸い嵐にも見舞われず、順調に帆を進めていた。途中、勝の指示で土佐に寄る手筈になっていて、土佐まではあとわずかだ。坂本は船が好きなようで、毎日飛び跳ねて船員たちの邪魔をしている。そんな坂本を横目に、紫音はぐったりとしていた。「まさか紫音が船酔いするとはのぅ、意外じゃき!」「…黙ってて下さい。頭に響きます」今ばかりは坂本の大きな声は文字通り頭痛のタネでしかない。だが、なるべく普通に接するようにしていた。他人に弱みを見られる事は、紫音の中であってはならない事だったのだ。だが、目ざとく気付いた坂本は、こうして度々嬉しそうに看病に来る。今も、船室で寝ていた紫音を引っ張り出して、外の海風を浴びさせていた。「紫音!もうすぐじゃ!!」「………何回も聞きました。お願いですから………期待させないでください………う」紫音は波に揺られながら、魚の餌を撒き散らすのであった。魚…ごめんなさい……。 **********盛大に吐いてしまった紫音はぐったりとしていたが、船は坂本の言う通り、ほどなく土佐に到着した。さすがの紫音も、慣れぬ船酔いにすっかり体力をなくした。船を下りる時の船員の苦笑が恥ずかしく、また坂本に担がれたのも屈辱だったが、船酔いには勝てなかった。「紫音、辛かろうが急いでここを離れるぜよ」「………どこへ行くんですか?」「儂が生まれた家じゃ!乙女ちゅう姉がいるんじゃが、文ば出しちょるき、大丈夫じゃろ。すまんのぅ…儂は脱潘しとるき、堂々とおれんのじゃ」「構いません…行きましょう」よろよろと立ち上がる紫音に、坂本は手を差し延べた。伸ばされた手を拒むように、紫音は微笑む。青白く見える顔が、船酔いの辛さを表していて、坂本は困ったように頭をかいた。「強情な女子ぜよ。無理しちゃいかんき、辛くなったらすぐに言うんじゃぞ?」「ありがとうございます、行きましょう」本当は未だに海の上にいるような揺れる感じが続いていたが、大丈夫と言うように紫音は先を歩く。時間がないのだ。罪人と話す…警護にあたる数もわからない状態では出来はしない。

    votre commentaire
  •  

    Lire la suite...


    1588 commentaires